「角右衛門 特別純米 -cry for the moon-」
「角右衛門 特別純米 -cry for the moon-」
(株式会社木村酒造/秋田県湯沢市)
酒米は秋田県湯沢市産「吟の精」を25%、秋田県産「ぎんさん」を75%使用。
酵母は自社ブレンドのものを使用しており、ブレンド酵母由来の華やかさと果実感が感じられます。
冷やでは程よい重厚感があり、秋冬らしいしっかりとしたボディが印象的で、後味に木村酒造さん特有のテイストが感じられました。
ぬる燗、熱燗にもしてみましたが、凝縮された旨味や甘みが楽しめて個人的にはこちらのほうがより美味しく味わえました。
どの温度帯で飲んでも甘さが控えめなため、飲み続けやすく食中酒としても向きます。
お好み焼きとローストビーフ(センス皆無の食べ合わせ)と一緒に飲みましたが、なかなかの好相性でしたよ。味の濃い料理と合わせると、コクが足されてさらに旨味が増すように思いました。
晩秋や初冬に飲んでみると、また違ったふうに感じられそうです。
今の味わいも魅力的ですが、外気温がぐっと下がった頃のほうがお酒そのもののポテンシャルが発揮されそうだな、と。
初秋から晩秋、初冬まで、長く寄り添ってくれる一本です。
【価格】
720mℓ 1,485円
1800mℓ 2,970円
(どちらも税込)
【小川屋スタッフから】
ついに登場しました。角右衛門のひやおろし…ではなく、角右衛門シリーズの新商品。
“cry for the moon”には「不可能を願う」や「無理なことを望む」などの意味があります。なぜこの時期にひやおろしではなく、cry for the moonと冠した季節限定酒を発売したのでしょうか。
木村酒造さんによると、「本来ひやおろしはもっと季節感があるものだった」、と。
現在は、8月下旬から季節を先取りするように秋酒が次々に登場します。ひやおろしという言葉に、宣伝のための商業的な意味合いが増してきたのはここ十数年のことでしょう。
現在のひやおろしに、かつての言葉の重みや貴重さ、季節感が薄れてしまった…と木村酒造さんは考えていたそうです。
そう思いつつも、去年まで発売していた「角右衛門ひやおろし」に思い入れもあり、ひやおろしの製造休止を決断するまで悩んだのだとか。しかし、ひやおろしの原点に回帰するべく、秋冬の季節限定品を作ると決めたとのことです。
この商品こそが、まさに「ひやおろし」だと呼ばれるようになるまで育てていく。
無理だと思えることでも願い(=cry for the moon)、諦めずに理想を追い求める大切さを自らに課したのだそうです。
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造り方だけでなく、設備や技術など酒造りを取り巻く環境は時代とともに変わってきました。
30そこらの私は恥ずかしながら、ひやおろしの存在について深く考えることなく、秋の風物詩だと思っていたわけです…。
この期間限定酒は、私のような若輩者に改めて考えるきっかけをくれるお酒でした。
ねこちゃんがお酒を呑みつつお月見する、めんこさ溢れるラベル。
一見しただけでは、めんこくて季節にぴったりの秋酒!と思いますが、その裏側には、木村酒造さんの想いが込められています。
木村酒造さんが一石を投じる渾身の秋酒、皆様もぜひご賞味ください。
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